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レオパレス21の現状と評判:不祥事の壁は本当に修復されたのか?

レオパレス21の現状と評判:不祥事の壁は本当に修復されたのか?

結論から言えば、今のレオパレス21は「利用目的次第で魅力的な選択肢」です。 2018年の施工不備問題はほぼ解消され(98.1%改修完了)、財務も回復基調。

ただし「壁の薄さ」や「通信速度」は構造的な課題として残ります。

この記事では、過去の傷跡と現在の実力、そして住み心地など、データと住人の声からあぶり出していきます。

レオパレス21
レオパレス21

 

崖っぷちからの復活劇?新生レオパレス21の現状と評判

2018年春。レオパレス21の施工不備スキャンダルは、同社を経営危機の淵へ突き落としました。あれから数年、レオパレス21は本当に立ち直ったのでしょうか。

施工不備による大打撃と経営のV字回復

施工不備による大打撃と経営のV字回復

界壁(部屋間の仕切り)が天井裏まで届いていない。これが問題の核心でした。「壁が薄い」レベルを超え、建築基準法違反という重大事態。

防火性能も遮音性能も基準を満たさず、耐火性能不足の物件だけで7,782人が転居を強いられました。

対応費用と業績悪化が重なり、2021年3月期には債務超過へ転落。上場廃止の猶予期間入り銘柄に指定されるほど追い込まれます。

しかし同社は大規模な資金調達とコスト削減、事業構造改革を進め、2022年6月には債務超過を解消しています。

経営指標(連結) 2021年3月期 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期(実績)
売上高(百万円) 431,100 402,900 410,800 419,800 431,831
営業利益(百万円) -9,800 2,000 11,700 22,930 29,231
当期純利益(百万円) -23,205 12,650 20,682 42,953 17,861

不祥事発覚後、建築士382人のうち71人が退職(2019年4月→2020年3月)。組織の傷は深かった。それでもここまで回復できたのは、法人契約へのシフトが効いています。

2025年3月期末で30万戸超の法人契約を維持し、個人利用ほど価格にシビアでない企業需要を掴んだ。危機を「構造改革の起爆剤」に変えたわけです。

一方で、日本の住宅市場全体は縮小傾向にあります。国土交通省の建築着工統計調査報告(令和6年計分)によれば、2024年の新設住宅着工戸数は79万2,098戸(前年比3.4%減)で、15年ぶりに80万戸を割り込みました。こうした厳しい環境下での業績回復は、決して偶然ではありません。

こうした厳しい環境下での業績回復は、決して偶然ではありません。

施工不備の改修はどこまで進んだのか?

最も重要な問いです。壁は本当に直ったのか?

改修進捗状況(2025年3月末現在)

項目 総戸数
(対象)
調査完了戸数 調査完了率 改修等対応完了戸数 改修完了率
(不備確認物件中)
全体 176,240戸 175,282戸 99.5% 77,638戸(不備確認総戸数79,171戸中) 98.1%

数字だけ見れば「ほぼ完了」と言えます。改修が必要な物件の大半で対応済み。物理的な不備の解消は最終段階です。

でも、ここが肝心なんです。改修が終わったからといって、問題の根っこにあった「コスト圧縮優先」「工期短縮強要」「法令遵守意識の低さ」という企業体質が消えたわけじゃない。

今もオーナーや入居者、投資家が抱える不安の核心はそこにあります。レオパレス21は「コンプライアンス・ファースト」を掲げ再発防止策を進めていますが、企業文化の変革には時間がかかる。信頼回復はまだ道半ばと見るべきでしょう。

リアルな住人が語る評判:「壁の薄さ」の真実とメリット

ネット上で最も目立つレオパレス評判。それは「壁が薄い」「騒音がひどい」です。

避けられない「騒音問題」と「レオネットの遅さ」

レオパレス21の物件は、初期費用を抑えるため軽量鉄骨や木造で建てられることが多い。これが防音性の低さに直結しています。

  • 騒音の現実: 「隣室のテレビの音が筒抜け」「くしゃみや咳まで聞こえる」。こうした口コミは山ほどあります。
  • 構造的な振動: ドアの開閉で建物全体が揺れる。大型トラックが通ると家が揺れる。振動にまつわる不満も多数。

加えて、独自のインターネットサービス「レオネット」の通信速度も評判が芳しくない。「オンラインゲームや動画視聴に支障」「夜間は極端に遅くなる」という声が根強くあります。

騒音問題は、レオパレスのビジネスモデルの「影」だと思います。

家具家電付き、初期費用の安さ、短期契約の柔軟性。これらのメリットは裏返せば「仮住まい」の利用者が多くなり、コミュニティ意識が希薄になる。入居審査が通りやすい(連帯保証人不要など)のも、住民の質にばらつきを生みやすい一因です。

騒音は壁の薄さだけじゃない。「隣人ガチャ」の要素が大きいんです。静かな環境を最優先する人には向きません。

レオパレス21が選ばれる揺るぎないメリット

悪評が多い一方、長年支持される理由も確かにあります。

  • 初期費用が安い: 敷金・仲介手数料が0円の物件が多数。
  • 家具・家電付き: 冷蔵庫、洗濯機、ベッドが備え付け。購入費用(10万~20万円程度)と手間を節約でき、入居したその日から生活を始められます。
  • 短期契約(マンスリー): 30日からの利用が可能。出張や研修、一時的な仮住まいに最適。水道・光熱費やインターネット利用料が部屋利用料に含まれる点も魅力。
  • 24時間サポート: 備え付け家具・家電の破損時、無料で修理または交換してもらえる体制があります。

    なお、国立社会保障・人口問題研究所の世帯推計によれば、単独世帯(一人暮らし)は今後も増加が見込まれます。

    2020年に38.1%だった単独世帯の割合は、2050年には44.3%まで上昇する見通し。レオパレスのような単身者向け物件の需要は、長期的に見れば底堅いと言えます。

    お部屋探しからご入居までWEBで行えるレオパレス21

    ゼロゼロ物件の裏側とレオパレス21の家賃・初期費用を徹底解剖

    本当に安いのか?そのカラクリを見ていきます。

    賃貸契約とマンスリー契約:2つの費用体系

    レオパレス21には「賃貸契約」(1年以上の長期)と「マンスリー契約」(30日~1年以内の短期)があります。

    費用項目 賃貸契約(長期) マンスリー契約(短期)
    敷金・仲介手数料 0円(原則) 0円(部屋利用料に含まれる)
    支払い方法 月々払い 利用料一括前払い
    水道・光熱費 別途支払いが必要 料金に含まれるため不要
    インターネット 月額利用料(2,640円~) 利用料に含まれるため不要
    初期費用の目安 家賃の約2.5~3ヶ月分 利用期間による(例:30日間で約20万円)

    「敷金・礼金・仲介手数料ゼロ」は確かに魅力的。でも、その分家賃が周辺相場より2~3割高めに設定されているケースがあるという指摘も。長期で住むなら、家具家電を自分で揃えて通常の賃貸を借りた方がトータルコストは安くなる可能性があります。

    レオパレスの「安さ」は、初期の経済的負担を劇的に軽減する「タイムパフォーマンス(タイパ)」の良さにある。そう捉えるべきです。

    レオパレスは敷金・礼金「不要」で引っ越し可能

    レオパレス21初期費用の内訳と「隠れた費用」

    賃貸契約における初期費用を、家賃5万円の1K物件でシミュレーションしてみます。

    初期費用の主な内訳(家賃5万円、1K、礼金1ヶ月の場合) 概算費用(税込)
    敷金・仲介手数料 0円
    礼金 50,000円
    前払い家賃・共益費など(1ヶ月分) 約53,000円 + 日割り
    火災保険料(新・入居者あんしん保険) 19,890円
    鍵の交換費 16,500円
    抗菌施工費(任意オプションの場合もあり) 18,040円
    退去時清掃費(契約時払い) 41,800円
    入居者サポートシステムプラス(24時間サポート) 18,975円
    合計 221,395円 + 日割り

    注目すべきは退去時清掃費(41,800円)が初期費用に含まれている点。また、個人契約では家賃保証会社の保証委託契約が必要で、利用料の100~120%を契約時に支払います。初期費用はクレジットカードの分割払いが可能なので、まとまった現金がない場合は活用できます。

    レオパレス21退去費用の相場と長期入居の特典

    退去時清掃費を契約時に払っていない場合、退去時に精算が必要になります。

    • 退去費用相場: 実際に住んだ人の体験談から、平均的な退去費用は4万~5万円程度。
    • 費用の内訳: 多くのケースで「基本清掃料」のみ。レオパレス退去者の80.45%が基本清掃料のみの負担で済んでいるというデータもあります。
    • 基本清掃料(1R・1K、家具家電あり): 41,800円(税込)が目安。
    • 長期入居特典: 賃貸契約で同一の部屋に4年以上継続入居すると、基本清掃料が無料になります(マンスリー契約・法人契約は対象外)。

    退去費用のトラブルは賃貸全般で多いですが、レオパレスの場合は費用体系が比較的シンプル(基本清掃料+原状回復費)。4年以上住めば清掃料が免除される特典は、長期入居者に優しい仕組みと評価できます。

    ただし、タバコのヤニ汚れや故意・過失による破損があれば、原状回復費用が別途発生し高額になる可能性もあるので注意が必要です。

    再生を賭けた資本戦略とレオパレス21株価の5年推移

    企業の信頼性を見る上で、財務と資本市場の評価は重要です。

    危機後の業績回復と株価の動き

    レオパレス21(証券コード:8848)は、2025年3月期に営業利益292億円を達成。これはリーマンショック後で最高益となる水準です。背景には、施工不備問題への対応費用が一巡したことと、賃貸事業における収益力強化があります。

    レオパレス21株価 5年推移の概況(2019年~2024年/2025年頃)

     

    2018年の不祥事発覚以降、株価は大きく下落。2021年3月期の債務超過時には上場廃止リスクを抱え、厳しい状況が続きました。

    しかし2022年以降、債務超過解消や業績回復の兆しが見え始め、株価は回復基調に。2024年3月期には6期ぶりの復配(1株当たり5円)を実施し、2025年3月期は年間10円の配当が予定されています。

    (注: 2025年10月31日時点の終値は630.0円。不祥事以前の水準にはまだ遠いかもしれませんが、着実に信頼回復の途上にあることを示しています。)

    投資家視点の考察:新生レオパレス21のポテンシャル

    レオパレス21は中期経営計画「New Growth 2028」を策定し、2026年3月期からアパートの新規請負受注(開発事業)を本格的に再開する方針です。賃貸事業で培った安定的な収益基盤と、長年のノウハウを再び成長戦略に繋げようとしています。

    • 強み: 家具家電付き、保証人不要、全国に広がる管理戸数(約55万戸)という圧倒的な「規模」と「利便性」。単身世帯の増加傾向にある市場において、依然として大きな競争優位性があります。
    • 課題: 施工不備問題で損なわれたオーナー(地主)との信頼関係の回復。また、騒音問題やレオネットの通信速度といった、入居者の「住み心地」に関する根本的な課題の解決が、今後さらなる成長の鍵になります。

      レオパレス21の真の再生は、壁を直すことや財務を改善することだけじゃない。不祥事の教訓を「品質管理」という付箋として、全ての物件、全ての社員の心に貼り付け続けること。新生レオパレスが今後提供する物件が「静かなる安心」を届けられるかどうか。それが市場での最終的な評価になります。

      社会インフラを担う企業として、誠実に歩みを進めることに私たちは注目し続けるべきです。

      まとめ:レオパレス21の現状と評判の総括と後悔しない住まい選び

      レオパレス21は、2018年の施工不備問題という巨大な逆風を乗り越え、現在は財務面・事業面で明確な回復基調にあります。過去の問題は解決に向けた最終段階に入っており(2025年3月末時点で不備確認物件の98.1%が改修完了)、企業として信頼回復に努めています。

      結論として、今のレオパレス21は「利用目的が合致すれば魅力的な選択肢」です。

      レオパレス21が向いている人 レオパレス21が向いていない人
      初期費用を徹底的に抑えたい人 静かな環境で暮らしたい人
      1年未満の短期滞在(出張、研修、仮住まい)を希望する人 高速で安定したインターネット環境が必須な人(オンラインゲーム/在宅ワーク)
      家具・家電を揃える手間と費用を省きたい 長期間の居住(3年以上)を予定しており、コスパを重視する人
      連帯保証人を用意するのが難しい人 設備の質や内装に強いこだわりがある人

      あなたに合わせた決断を下すために

      レオパレス21の物件は、利便性と低初期費用というメリットがある一方、「壁の薄さ」や「レオネットの速度」といったデメリットは依然として指摘されています。これは構造的な問題なので、すべての物件で完全に解消されたとは言い切れません。

      もしあなたが「短期的な利便性」や「初期費用の安さ」を何よりも優先するなら、レオパレスのキャンペーン物件やマンスリー契約は有力な選択肢。しかし「静寂」や「高速インターネット」を求めるなら、レオパレスは避けるべきかもしれません。

      住まい選びで後悔しないためには、入居前に必ず「改修済みの物件かどうか」を確認し、可能であれば昼と夜の環境を確認する「内見」が何よりも重要です。

      賢く情報を取捨選択し、あなたのライフスタイルに最適な住まいを見つけ出してください。住居は人生の基盤。あなたが安心できる生活を送れるよう、心から願っています。

      レオパレス21
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