
旅行先で、スーパーに寄るのが好きです。
観光名所でも、おしゃれなカフェでもなく、地元の人が普段使っているスーパー。見たことのない調味料が並んでいたり、魚の売り場にその土地らしさが出ていたり。別に何かを買わなくても、見ているだけでけっこう面白い。
こういう時間を楽しめるなら、ホテルに一泊して観光地を回るだけじゃなく、知らない町で何日か暮らすように過ごすのもよさそうです。
そんな暮らし方に関心がある人に知ってほしいのが、ADDress(アドレス)というサービスです。
全国各地の住まいを利用できる、多拠点居住のサブスクリプションサービス。ひとつの町に腰を据えるわけでもなく、毎回ホテルを予約して旅行するのとも違う。いくつかの場所を行き来しながら過ごす、ちょっと変わった住まいの使い方です。
ただ、こういうサービスを見ていると、いいところばかりが目に入ります。
好きな町で過ごせる。気分転換になる。地方で仕事もできる。聞いているだけなら楽しそうです。
でも、月額料金を払う以上、使わなければもったいない。行きたい日に予約できるのか、共用スペースは気にならないのか。そもそも、普通にホテルを予約するより自分に合っているのか。
このあたりを考えずに申し込むと、思っていたのと違う、となるかもしれません。
今回はADDressの料金や使い方を整理しながら、どんな人に向いているサービスなのかを考えてみます。

ADDress(アドレス)|多拠点居住サブスク
ADDressとは定額でシェアして使える住まいのサブスク

ADDressは、全国数百か所以上にある「家」を、定額でシェアして使える住まいのサブスクです。拠点は空き家や別荘をリノベしたものが中心で、商店街の中、海の前の元民宿、古民家など、場所ごとに顔が違います。
ホテルと違うのは、暮らしの場を会員同士でシェアする形だということ。個室は確保されますが、キッチンやリビングなどの共用スペースは他の会員と一緒に使います。そして各拠点には「家守(やもり)」と呼ばれる管理人がいて、暮らしのサポートや、会員同士・地域の人との交流の橋渡しをしてくれます。
料金とチケットの仕組み

料金は「チケット制」です。プランごとに毎月チケットが配られ、原則1枚で1泊分として使います。
- 一番手頃なのは月額9,800円で月2枚のプラン
- ほかに月5枚・15枚・30枚などのプラン、まとめて60枚のプラン、月額980円で年間2枚という軽いプランもあります
- プランは毎月変更できます
- チケットの有効期間は配布日から6か月。翌月以降への繰り越しもできます
- チケットが足りなくなっても、追加で買うことはできません
ここで大事なのが、どの家・どの部屋を選んでも月額は変わらないという点です。都心の家でも地方の家でも、個室でもドミトリーでも、料金はプランの額のまま。宿泊税など、家ごとに別料金がかかる場合だけ例外です。
料金に含まれているもの
- 敷金・礼金・保証金などの初期費用は一切なし
- 電気・ガス・水道・ネット回線の料金が込み
- 全拠点Wi-Fi完備、家具・家電も備え付け
つまり、着替え程度の荷物で「今日から住む」が始められる設計です。
たとえば、こんな使い方ができる

仕組みだけ読んでも、自分の生活に置き換えにくいと思います。使い方の場面を並べるので、1つでも「あ、これ自分かも」と思えるものがあるか、眺めてみてください。
週末だけ、海のそばの住民になる
金曜の夜に着いて、土日は釣りにサーフィンに市場めぐり。毎週末ホテルを探す必要がなく、同じ家に通うから顔なじみもできます。「旅行者」ではなく「週末だけ帰ってくる人」になれる感覚は、ホテルでは味わえません。
平日は地方の家でテレワーク
月曜から金曜は温泉地や高原の家で仕事をして、週末は都心の自宅に戻る。Wi-Fiと光熱費は月額に込みなので、仕事環境の心配は最小限です。会議の背景が毎週違う、というのも小さな楽しみになります。
推し活・遠征の拠点にする
ライブやスポーツ観戦で全国を回る人にとって、遠征のたびのホテル争奪戦は悩みの種。開催地の近くにADDressの家があれば、チケットで泊まれる拠点になります。遠征先が「泊まる場所」から「帰る場所」に変わります。
移住のおためしに使う
「田舎暮らしに憧れるけど、いきなり移住は怖い」。そういう人こそ、まず数か月通ってみる使い方が向いています。夏の気持ちよさだけでなく、冬の寒さや買い物の不便さまで体験してから決められるのが、見学ツアーとの決定的な違いです。
季節ごとに、気持ちのいい場所へ移る
桜の季節は東北へ、梅雨どきは雨の少ない土地へ、夏は高原、冬は暖かい南の町へ。定年後の夫婦が日本地図の上で「次はどこに住もうか」と話す。決まった住所を持たないからこそできる、季節の引っ越しです。
子どもの長期休みを「田舎のある子」に
夏休みの数週間、田舎の家で暮らす。朝は海で泳いで、午後は縁側で宿題、夜は満天の星。実家が田舎にない家庭でも、子どもに「第二のふるさと」を作ってあげられます。同伴者の登録で家族一緒に滞在でき、滞在が無料になる家も多数あります。
「実家代わり」の拠点を持つ
親の暮らす町の近くに拠点を持てば、月1回の帰省が気軽になります。親の家に泊まる気兼ねもなく、自分のペースで顔を出せる。逆に、親を同伴者として登録して、別の土地の家に一緒に泊まる「小さな家族旅行」もできます。
温泉地で、湯治がわりの滞在
温泉のある町の家にまとまって滞在し、朝晩温泉に入って体を整える。ホテルの連泊では割高になる過ごし方が、月額のチケットの範囲で収まります。
創作や勉強に籠もる場所にする
執筆、資格の勉強、作品づくり。締め切り前に山あいの静かな家に籠もれば、日常の雑事から切り離された集中時間が手に入ります。自宅でもカフェでもない「籠城専用の場所」です。

どれか1つでも当てはまったら、ADDressは「面白そうなサービス」から「自分の話」に変わるはずです。
向いている人

- リモートワークで、場所を変えながら働きたい人
- 週末だけでも、月に数日は違う土地で過ごしたい人
- 移住を考えていて、いきなり決める前に「おためし」で暮らしてみたい人
- ホテルの連泊より、キッチンのある「暮らす感覚」の滞在が好きな人
同伴者の制度もあります。家族や友人を同伴者として登録すれば一緒に滞在でき、滞在が無料になる家も多数あります(部屋は1〜2名用が多いので、人数には注意)。
向いていない人・注意点

良いことだけ書いても参考にならないので、引っかかりやすい点も挙げておきます。
- 共有スペースが前提:キッチン・バス・トイレは共用が基本です。完全なプライベート空間を求める人には向きません
- アメニティは自前の場合あり:洗剤・シャンプーなどの消耗品を用意していない拠点もあります
- アクセスに差がある:公共交通では行きにくい拠点もあり、車やバイクが必要になる場合があります。駐車場の有無も拠点ごとに違います
- チケットは買い足せない:泊まる日数が読みにくい人は、プランの枚数選びが肝心です
- 住民票は置けない:あくまで滞在のサービスで、住所登録の用途には使えません
ADDressはホテルや賃貸と何が違うのか

価格の比べ方をすると、見え方が変わります。
ホテルは「1泊いくら」で、泊まるほど費用が増えます。賃貸は「住む場所を1つに固定する」契約で、初期費用もかかります。ADDressはその中間で、月額を払えば複数の土地に「いつもの場所」が持てる。その代わり、所有も専有もしない、という割り切りのサービスです。
1泊あたりの単価を競う相手ではなく、「暮らす場所の数」を買うもの、と考えると判断しやすいと思います。
| 比較項目 | ADDress | ホテル | 賃貸住宅 |
|---|---|---|---|
| 滞在スタイル | 複数の拠点を利用 | 必要な日だけ宿泊 | 基本的に同じ場所で暮らす |
| 料金 | 月額料金とチケット | 宿泊ごとの料金 | 家賃などの月額費用 |
| 滞在先 | 利用可能な拠点から選ぶ | 幅広い宿泊施設から選ぶ | 契約した物件 |
| 生活設備 | 拠点によって異なる | 施設によって異なる | 物件によって異なる |
| 向いている人 | 複数の町を行き来したい人 | 短期旅行や出張が中心の人 | ひとつの場所に腰を据えたい人 |
始め方の流れ

- プランを選んで申し込む:まずは月2枚のプランから様子を見るのが無難です
- 本人確認:初回の予約前に身分証による本人確認があり、問題なければ2営業日以内に予約できるようになります
- 家を予約して滞在開始:チケットの範囲内で、拠点と日程を選んで予約します
最低契約期間の縛りや解約手数料はなく、解約は次回更新日の前日までに手続きすればよい形です。プランの変更も毎月できるので、「まず試して、合わなければやめる」がしやすい料金設計になっています。
まとめ:多拠点生活サブスクADDressとは?

ADDressは、月額9,800円から、初期費用や光熱費の心配なしに、全国の拠点を行き来できる住まいのサブスクです。チケット制・有効期間6か月・どの家でも同額、という仕組みさえ押さえれば、判断はだいぶ楽になります。
シェアハウス型の暮らしに抵抗がなく、「旅行」より少しだけ生活に寄った滞在をしてみたい人には、試す価値のある選択肢だと思います。

